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BOSE AWM押しボタンがない(2025.5.31)

 

BOSE製レシーバAWMの修理依頼が続いています。CDドライブの
ピックアップ交換、カセットデッキのギヤ修復、電源回路のコンデンサ
交換、パワーアンプのIC交換・・と色々な不具合を解決してきました。
この1年ほど、電源が入り各部とも機能するが「音が出ない」故障が
舞い込むようになるも、これはメイン基板に原因があると判断し修理を
見合わせています。実際には正常なメイン基板を入手して、移植交換
する方法で凌いでいました。ところが、時間をかけてメイン基板を解析
したところ、音が出ない原因を突き止めることに成功し、部品取り用の
ドナー機としてジャンク化していた数台のAWMが息を吹き返しました。

 

息を吹き返した元ジャンクの1台です。入手した
時点で、音量の押しボタンが片方欠損していました。

 

ボタンが無くなっていることもあり、
割安にて入手できたわけです。

 

先述の通り、逆移植された不具合のある
メイン基板は修復により正常に動作します。

 

電源が入り、ラジオ受信、カセットテープ再生、
CD再生とも正常に機能し、「音が出ます」。

  

音量を上げる側(右側)の押しボタンが欠損しています。
奥に見えるタクトスイッチの頭を、爪楊枝のようなもので
押し込むと音量を上げることができますが・・不便です。
 

せっかくメイン基板の修復に成功している
ので、押しボタンも何とかしたいものです。

 
 
音量を含む各操作スイッチは上面パネルの裏側、
つまり本体の内側に取り付けられています。
 

本体上面を分解しパネル裏側の
スイッチ基板を取り外します。

 

押下時に各ボタンを支えるため
11本ものネジで固定されています。

 

23個のタクトスイッチに液晶表示器や専用
制御チップも搭載する高機能な基板です。

 

スイッチ基板を取り除くと、押しボタンが
作り込まれた樹脂製フレームが現れます。

 

音量ボタン(増・減)を含む
フレームを引き抜きます。

 

片方の音量ボタンが、フレームとの
接続部で折れて欠損しています。

 

他方の押しボタンが残っているので、サイズを
精密に測定しCADデータ化します。小ギヤを
製作する時ほどの精度は必要ありません。

 

STLデータをスライサーに渡し、光造形3Dプリンタ用に
サポートを付加しスライスデータを出力します。

 

このくらいのサイズでは
プリント時間50分弱です。

 

フレームとの接合は瞬間
接着剤で何とかなるでしょう。

 

元の押しボタンと同じ(に近い)色で塗装
します。プラカラーのシルバーをベースに、

 

ブラックを混合して色を
合わせて行きます。
  

試し塗りで色合いを確認
します、まぁまぁでしょう。

 

元のボタンとほぼ同色ですが
少し光沢が残ったようです。

 

フレームに接着します。ボタンの
トップ面に積層痕が残っています。

 

塗装前に研磨しておくか、スライス時に
設置角度を調整するべきでした。

 

ですが、押しボタンとして機能すれば
よろしいのでこのままにします。

 

スイッチ基板を元に戻し
本体を組み上げます。

 

外観を確認します・・まぁまぁでしょう。音量を上げる
意味の上向き三角形マークがありません。そのうち
白色ビニルテープから切り出して貼り付けます。

 

音量押しボタンの復活です。タクトスイッチに届く
突起部分も正確に再現したので、しっかり音量を
上げることができます。押しボタンではなくメイン
基板の修理こそ記事にすべきでは・・、もちろん
承知しておりますが、SMD(表面実装部品)が
並ぶ高密度基板上の原因究明は困難を極め、
写真を撮りながらの作業はとても無理です。

 
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