
BOSE製レシーバAWMの修理依頼が続いています。CDドライブの
ピックアップ交換、カセットデッキのギヤ修復、電源回路のコンデンサ
交換、パワーアンプのIC交換・・と色々な不具合を解決してきました。
この1年ほど、電源が入り各部とも機能するが「音が出ない」故障が
舞い込むようになるも、これはメイン基板に原因があると判断し修理を
見合わせています。実際には正常なメイン基板を入手して、移植交換
する方法で凌いでいました。ところが、時間をかけてメイン基板を解析
したところ、音が出ない原因を突き止めることに成功し、部品取り用の
ドナー機としてジャンク化していた数台のAWMが息を吹き返しました。
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息を吹き返した元ジャンクの1台です。入手した
時点で、音量の押しボタンが片方欠損していました。
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ボタンが無くなっていることもあり、
割安にて入手できたわけです。
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先述の通り、逆移植された不具合のある
メイン基板は修復により正常に動作します。
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電源が入り、ラジオ受信、カセットテープ再生、
CD再生とも正常に機能し、「音が出ます」。
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音量を上げる側(右側)の押しボタンが欠損しています。
奥に見えるタクトスイッチの頭を、爪楊枝のようなもので
押し込むと音量を上げることができますが・・不便です。
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せっかくメイン基板の修復に成功している
ので、押しボタンも何とかしたいものです。
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音量を含む各操作スイッチは上面パネルの裏側、
つまり本体の内側に取り付けられています。
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本体上面を分解しパネル裏側の
スイッチ基板を取り外します。
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押下時に各ボタンを支えるため
11本ものネジで固定されています。
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23個のタクトスイッチに液晶表示器や専用
制御チップも搭載する高機能な基板です。
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スイッチ基板を取り除くと、押しボタンが
作り込まれた樹脂製フレームが現れます。
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音量ボタン(増・減)を含む
フレームを引き抜きます。
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片方の音量ボタンが、フレームとの
接続部で折れて欠損しています。
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他方の押しボタンが残っているので、サイズを
精密に測定しCADデータ化します。小ギヤを
製作する時ほどの精度は必要ありません。
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STLデータをスライサーに渡し、光造形3Dプリンタ用に
サポートを付加しスライスデータを出力します。
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このくらいのサイズでは
プリント時間50分弱です。
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フレームとの接合は瞬間
接着剤で何とかなるでしょう。
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元の押しボタンと同じ(に近い)色で塗装
します。プラカラーのシルバーをベースに、
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ブラックを混合して色を
合わせて行きます。
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試し塗りで色合いを確認
します、まぁまぁでしょう。
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元のボタンとほぼ同色ですが
少し光沢が残ったようです。
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フレームに接着します。ボタンの
トップ面に積層痕が残っています。
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塗装前に研磨しておくか、スライス時に
設置角度を調整するべきでした。
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ですが、押しボタンとして機能すれば
よろしいのでこのままにします。
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スイッチ基板を元に戻し
本体を組み上げます。
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外観を確認します・・まぁまぁでしょう。音量を上げる
意味の上向き三角形マークがありません。そのうち
白色ビニルテープから切り出して貼り付けます。
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音量押しボタンの復活です。タクトスイッチに届く
突起部分も正確に再現したので、しっかり音量を
上げることができます。押しボタンではなくメイン
基板の修理こそ記事にすべきでは・・、もちろん
承知しておりますが、SMD(表面実装部品)が
並ぶ高密度基板上の原因究明は困難を極め、
写真を撮りながらの作業はとても無理です。
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