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猛暑の中コーラを冷やす(2025.11.15)

 

秋も深まる中、季節のずれた妙なタイトルですが。この夏も大変な
猛暑でした。そのさ中、地ビールならぬ地コーラを製造販売する
ユニークな会社から、とあるご依頼をいただきました。独自調合に
より独特の風味を持つコーラ飲料を提供されている、伊良(イヨシ)
コーラ
という会社で、都心の新宿区高田馬場に居を構えています。
 

1本ご馳走になったところ、長年コカ・コーラや
ペプシを飲み続けた口には感動的な味わいです。

 

先々代の伊東良太郎氏は和漢方職人で、
その葯工がクラフトコーラに生かされています。

  

猛暑・灼熱の中、下落合の伊良コーラを訪れ
ます。ビルの1階に小さな倉庫があります。

 

倉庫の内外には頑丈そうな
木箱が山積みされています。

 

中国の会社に製造を依頼し
輸入した製品だそうです。
 

木箱の周囲は金属板で縁取りされており、
かなり乱暴な取扱いにも耐えられそうです。
 

木箱の中にはほぼ同サイズの
段ボール箱が入っています。
 

炎天下で、中身を引き出す
だけでも大変な重労働です。
 

梱包バンドを切り離すと外箱の固定が
解除され、ようやく中身が出てきます。

 

外箱を上に引き上げると、
中から現れた製品は・・

 

店頭に設置してコーラを販売するための小型冷蔵庫
です。特別注文して製造されたもので、前面上部に
イヨシコーラのロゴとカワセミのイラストが入っています。

 

依頼された内容とは、この冷蔵庫に
冷媒を充填して欲しいとのことです。

 

理由があって、冷蔵庫には冷媒が入っていま
せん。正確には輸出前に冷媒を抜いたそうです。
 

輸送は航空便だったのでしょうか(多分)、冷媒が
充填された状態では積み込めなかったそうです。
 

なので、受け取った後であらためて冷媒を
充填して使用する取り決めだったそうです。

 

調べてみると冷媒はR600a、僅か18gの
再充填です。大した作業ではありません。

 

数本のネジを緩め上部カバーを取り外し
ます。小奇麗ですが何とも華奢な造りです。
 

割としっかりしたコンプレッサーで、110-120V、
60Hzで1HP、国内では0.7HPくらいでしょう。

 

幸いなことにサービスポートが付いています。家庭用
冷蔵庫のようにポートが溶接で閉じられていると、面倒な
ことになるところでした。冷媒R600aはカーエアコンにも
使用されるので、カー用品店などどこででも手に入ります。

 

サービスポートのキャップを
外しておきます。

 

用意したマニホールド、真空ポンプ、
冷媒缶をホースで接続します。

 

サービスポートへはコントロール
バルブを介して接続します。

 

家庭用エアコンの真空引きや
冷媒追加と同じ要領です。

 

真空ポンプを起動し真空引きを始めます。
冷却系に残る元の冷媒も除去します。

 

たまにしか作業しないので、マニホールドの
バルブ操作手順でいつも悩みます。

 

真空ポンプ~サービスポート間を
開通すると内部の空気が吸い出されます。
 

真空ポンプ付属のゲージ
指針の動きを確認します。
 

冷却系の内部容積が小さいので
あっけなく下がり切ってしまいます。

 

マニホールド側のゲージは負圧範囲が僅か
ですが、こちらもほぼ真空を示しています。
 

冷却系内部に入り込んだ水分を
除去するため、10分ほど続けます。

 

真空ポンプを停止してさらに10分ほど待ち、
ゲージ指針に変化がないことを確認します。

 

R600aは自然冷媒(イソブタン)で、主にカーエアコン用の
代替フロンR134aよりもオゾン層破壊係数や地球温暖化
係数が非常に低く約1/400です。R600aへ移行が進むも
現状はまだ両者とも混在して使用されているようです。

 

冷媒缶側のマニホールド
バルブを開きます。

 

充填量僅か18gを正確に計量するのは何とも厄介です。
しかも100gのサービス缶は内部圧力が低いので・・

 

数g入るとその先がなかなか進みません。
電源を接続しコンプレッサーを動作させます。

 

冷却系の圧力が上昇し始める直前まで
冷媒が一挙に吸い込まれていきます。

 

加えて、ヒートガンで冷媒缶を温め
ながら何とか18gに到達します。

 

温めないと冷媒缶の表面に氷が張るほど
冷えます。先にコントロールバルブを閉じます。

 

続いてマニホールド側のバルブを閉じます。
充填中ゲージは一定の正圧を示します。
 

コンプレッサーを動作させているので、冷媒が
充填されるに従い熱交換器が冷たくなります。

 

サービスポートからコントロールバルブを
外し、元のキャップを取り付けます。

 

充填作業を終え上部
カバーを元に戻します。

 

カバーは薄い鈑金製なので、タッピング
ネジがネジ穴を簡単に舐めてしまいます。

 

木箱・段ボール箱から出して、冷媒を充填して、
再び段ボール箱に戻す・・を猛暑の中繰り返します。

 

充填作業をご依頼いただいた台数は、当日分で30台。
その前後でテストも含め数台を作業しているので、全部で
35台くらい作業したでしょうか。猛暑・灼熱の中、厳しい1日
でしたが、冷えてきた庫内を確認するほんの一瞬、涼しさを
味わいながら作業を終えました。この冷蔵庫は各地の
リゾートホテル、温泉、スーパー銭湯などに設置され、
類を見ないコーラフレーバの販売に活躍するそうです。

 
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