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外付けユニット式ジェットバス(2025.12.25)

 

今年はジェットバスの修理に5・6件対応しています。
修理の度に色々な製品・モデルを経験し、浴室内で
浴槽脇に内蔵するタイプと浴室屋外に外付けにする
タイプがあります。今回は後者で、ポンプユニットや
電源が浴室外に外付けされているジェットバスです。
内蔵タイプは浴槽脇の狭い空間で作業しなければ
ならず大変ですが、外付けタイプは比較的楽です。
 

設置以来20数年が経過しているそうですが
材質に耐久性があり、浴室はまだ綺麗です。

 

しかしジェットバスを復旧するには、浴室全体を
リフォームする以外に選択肢がありません。

 

リモコンを操作しても水位のエラー
表示され、ジェットバスは動作しません。


リモコンは水が侵入して故障しやすいので取り外して
点検します。ですが内部基板も綺麗な状態です。
 

そうすると、エラー表示の通り水位の異常および水位センサーの
故障、ポンプユニット、その電源装置、さらに制御基板の不具合や
故障が疑われます。これらは浴室屋外に設置されている室外機
内に全て組み込まれています。浴室の外に出て点検します。
 

外壁を貫通して各配管や配線が
室外機に接続されています。

 

ジェットポンプを動かす電力は外壁の
屋外コンセントから供給されます。

 

白い断熱材が被る2本が前後2か所の
吐出側、下の1本が吸水側のようです。

 

内部を点検するため、古びた
金属製ボックスを開けてみます。

 

トップカバーを固定している前面
側面の固定ネジを緩めます。

 

トップカバーを外します。
内部が顔を出します。

 

中央にジェットポンプ、左側に電源部、
右側は浄化フィルターでしょう。
 

フロントカバーも外すため
前面の固定ネジを緩めます。
 

筐体構造はまだ分かりませんが、
側面にある固定ネジも緩めておきます。

 

フロントカバーが外れると内部の
機器構成を把握しやすくなります。

 

各機器や基板の配置こそ異なりますが、全体の構成は
これまで何度か見てきた製品とほぼ共通しています。

 

先に大元の電源供給周りを確認します。
制御基板に入るところまでは問題ありません。
 

エラー表示のもとになる水位センサーです。
強烈に固着していて点検のしようがありません。

 

ですが水位に応じてON・OFFするだけですから
不具合の原因であるか否か特定は簡単です。

 

水位センサー自体は正常なので、やはり
動作ロジックつまり制御基板に問題があります。

 

もちろん制御基板を修復できれば良いのですが、
CPUによるプログラム制御では実質不可能です。

 

以前にも同様の室外機タイプで、制御基板の
不具合と分かり修理を諦めたことがあります。

 

今回は全く別の方法による復旧を目指します。
先ほどから配管類の取り外しを進めています。

 

吐出側配管に続き、吸水側
配管を取り外そうとしています。

 

本体接続部のホースバンドを緩める
だけでは配管が抜けてきません。
 

外壁側接続部のホースバンドも
緩めることで遊びを大きくします。
 

続いて上部の細い配管
2本を引き抜きます、が、

 

長い年月でゴム材質が
金属管に貼り付いています。
 

ウォータープライヤでゴム配管を
捩じりようやく抜けてきます。

 

この細い2本は、高圧吐出側に空気を
混合しジェット流を作るためのものです。

 

全く別の方法による復旧とは、本来はリモコンにより
ジェット流の強中弱切り替え、ウェーブ流やタイマー機能、
浄化槽によるフィルター機能などを操作できますが、
それらを一切取り払い単純にジェットポンプのON・OFF
だけにするアイデアです。実はモーターに電源を直結し
ジェットポンプ自体は正常に動作することを確認済みです。
また、強弱切り替えなど細かな操作ができなくても構わ
ないことはご依頼主が了解済みです。これまで修理して
きた経験上、ほぼ100%のご依頼主がそのような機能は
不要で、ジェット流「」でしかお使いになっていません。
 

ON・OFFのみで良いのであれば室外機に
含まれる多くの機器・部品が不要になります。

 

そのような改造は現場では難しいので
室外機を外して工房に持ち帰ることにします。
 

室外機を外したままでは、外壁から出る配管が
開放状態で、お湯が漏れ出てしまいます。

 

ゴムキャップを嵌めて
開口部を密閉します。

 

空気取り込み用の細いゴム配管も
開口端をマスキングテープで塞ぎます。

 

室外機周囲のカバーを元に戻し
車に積み込んで工房へ戻ります。

 

工房に運び込んだジェットバスの室外機です。これから
分解・改造の作業を通して、あらためてジェットポンプ
システムの構造を勉強・研究する良い機会になります。

 

制御基板を外し、あらためて損傷等を確認
します。外観上の問題は見当たりません。

 

見た目問題なしはほぼ手の出しようなしです。
センサーが多いので配線数も大変なものです。

 

しかし制御機能をほとんど取り去るので
配線ケーブルも片端から外します。

 

不要になる本体内部機器・部品の
取り外しにかかります。

 

固定ネジを緩めサイドカバー(パネル)を
外します。配管類が貫通しています

 

上下2本の吐出側配管の出口です。
すぐ内側に部品が組み付けられています。

 

ジェットポンプの出口配管は鋳造金属製です。
固定金具を外し接続部を分離します。

 

吐出側配管の手前に電気部品が
付いています。ネジを緩め外してみます。

 

防水仕様のサーボモーターのようで、
配管部品からでるシャフトに連結しています。

 

配管部品を開口部
から覗いてみます。

 

取りあえず貫通した状態ですが、
シャフトを回転させてみると。

 

内部のボール形状のバルブも回転し、
角度により配管内の通路が塞がれます。

 

本体kバーの内側に貼られているシステム全体の配線図です。
ジェットポンプと濾過タンクを中心に各部にアクチュエーターと
センサーが配置され、プロセッサを搭載した制御基板が全体を
なかなか複雑に動作させています。先ほどの部品は吐出側を
開口・閉鎖するための電磁バルブです。濾過タンクに循環させ
外部への排水時に経路を閉じる必要があるのでしょう。

 

配線図と突き合わせながら分解を進めると、
全体の機器構成が少しずつ分かってきます。

 

ここで、現地でも確認してきましたがジェット
ポンプが単独で動作するか再度確かめます。

 

配線(AC100V)をモーターに
直結し電源を入れてみます。

 

モーターが快調に回転し、吐出側から空気が
吹き出し吸い込み側に負圧がかかっています。

 

ここまで配管を複雑にしているのは
濾過タンクによる浄化機能の存在です。

 

濾過タンクおよび周囲の配管類を取り除けば
機器構成が一挙に簡単になるはずです。

 

濾過タンク上部に接続されて
いるゴム配管を抜きます。

 

反対側は電磁バルブを介して
外部ドレインに接続されています。

 

濾過タンクに内蔵されるフィルターの洗浄機能も
あるので、汚水を外部に排水できるのでしょう。

 

濾過タンクから延びる別の配管は、ポンプ
吐出口下部の別ポートに接続されています。

 

濾過したお湯を浴槽に戻す経路ですが、当時(20数年前)は
そうまでして再利用することが普通だったのでしょうか。

 

そもそもご依頼者もほとんど使ったことが
ないそうで、どう考えても不要です。

 

濾過したお湯を循環させる経路
(配管)を外していきます。

 

どのゴム配管にもホースバンドが丁寧に
取り付けられ、脱落を防止しています。

 

濾過タンクからもうひと系統、吸水側配管
器具に接続されるゴム配管があります。

 

濾過するには浴槽内のお湯を
取り込まなければなりません。

 

干すバンドを緩め
配管を抜きます。

 

配管を取り去ったところで
濾過タンク本体を外します。

 

配管接続部周りの空間を設けるため、マウントを介して
床面に固定されています。室外機床面の半分近くを
占めています。タンク下部に何か電気配線が見えます。

 

ジェットポンプの下部にも配線がつながり、
どうやら周囲にヒーターが巻かれているようです。

 

ジェットポンプに内蔵されたヒーターで
お湯を加温していたのでしょうか。

 

20数年前の入浴事情が垣間見える気がします。
もちろんユニットバスに追い炊き機能がありますが。

 

近くの大きなセメント抵抗器を外します。
ヒーター配線の電流制限用と思われます。

 

配管に密着させているので、流れ込む
お湯の温度補償用でもあるのでしょうか。

 

吐出側配管器具にもセメント
抵抗器が取り付けられています。

 

配線を中継する端子板も
不要となります。

 

制御基板を動作させるため、別途
変圧トランスが取り付けられています。

 

今後制御基板自体を使用しない
ので、やはり不要になります。

 

ジェットポンプ下部に巻き付けられているヒーターは
そのまま残しますが、配線は・・ぶった切ります。

 

ビニル袋にサーモスタットが入っています。
・・も含め不要な配線を根こそぎ取り去ります。

 

ここで吐出側配管に組み付けられて
いる電磁バルブを、もう一度確認します。

 

サーボモーターは取り外してしまい
ますが、シャフトを回転させて・・

 

管路が完全に開口した状態で
常時水流が通るようにします。

 

必要最小限の機器構成となり、
何ともすっきりしました。

 

残っている配線はモーターの電力線のみで、
起動用コンデンサは元の配線のままにします。

 

まだ大事な作業が残っています。吐出側・吸水側いずれにも
濾過ポンプ迂回用のポートが出ています。このままではお湯が
ダダ洩れになるので、しっかり塞いでおく必要があります。

 

パイプの先端を保護するビニル
キャップが丁度良いサイズです。

 

押し込むとかなりきつく
嵌まり込みますが、

 

水圧により吹き飛んでしまう
可能性がないとは言えません。

 

ホースバンドをかけて
しっかり固定します。

 

配管を通しながらサイド
カバーを元に戻します。

 

外部配管との接合部には、もう1段
ねじ込み式のカプラーが設けられています。

 

カプラーの内側にゴム製パッキンが
1枚挟み込まれていますが、

 

取り出して確認してみると、経年劣化で
材質がカチカチに固まっています。

 

このままでは水漏れを防止できない
ので、新しいパッキンに交換します。

 

ナットを締め込んだ時の
感触がまるで違います。

 

改造を終えた室外機を携え、あらためてご依頼者宅に
出向きます。室外機を元の架台に載せ、高さ調整ボルトで
ガタ付きを解消しておきます。キャップを被せておいたので
開口部から特に水漏れはなかったとのことです。

 

外壁から出る配管を
元の通りに接続します。

 

開口部のキャップを
先に取り外します。

 

ゴム配管の嵌め込み量がかなり
深いので、取り回しが面倒です。

 

ゴム材質がそれなりに硬化していますが
亀裂や割れが入るほどでもありません。

 

万一配管の交換となれば、浴室内と屋外を
往き来する大変な作業になるところです。

 

バブル発生用の空気を取り込む
細い配管も元に戻します。

 

ここまで作業すれば試運転が
できます。電力線を直結します。

 

問題は大きな負荷がかかる通水状態でも
ジェットポンプが正常に動作するかです。

 

浴槽内の水位が吹き出し口位置を
超えるまで水が溜まった状態で、

 

ブレーカーのレバー(スイッチ)を
ONにします。モーターが回転し、

 

勢い良くジェット流が吹き出ています。モーターに
電気(AC100V)が直結されており、電力が何ら
制限されていないので吹き出すパワーは最大です。

 

当然元のリモコンは使用できないので、ON・OFF
するだけでも何か方法を考えなければなりません。

 

便利なデバイスがあるものです。ワイヤレスで
AC100V電源をON・OFFできるスイッチです。

 

2端子をAC100Vへ、2端子を
負荷へ接続するだけです。

 

デバイス自身が使用する電源は
接続したAC100Vから賄います。

 

こちらリモコンのスイッチです。ボタンを押し
込む力で発電するので電源が要りません。

 

433MHzで送受信し到達距離は
屋外で100m、屋内でも30mです。

 

金属製のカバーに囲まれた程度で
通信不能になどなりません。

 

室外機を元通りに復旧し
外回りの作業は完了です。

 

浴室内からリモコンの動作を確認します。壁のすぐ
外に室外機が設置されているので、距離は2mも
ありませんが。さらにこのリモコンは防水仕様です。

 

問題なく動作します、ジェット流も快調そのものです。

[後日談]
作業を終えて数日後ご依頼主から連絡があり、浴槽の残り湯を
落とし(抜いて)あらためてお湯を張ってジェットバスを動作させると
モーター音はするけれどジェット流が出てこないとのことです。実は
予め想定していた事態で、配管内(特に吐出側)に空気が入り込んで
いると、水流が阻害される可能性があります。液体(水)とは異なり
空気は膨張しやすく圧縮されやすいため、ポンプが動作し配管内の
圧力を高めても残留する空気が圧縮されるばかりで、水を流動開始
させる前に圧力が均衡してしまう可能性があります。空気が残るのは
最も高い位置にある配管の中なので、そこに空気を逃がす開口部を
設けることで解消するはずです。近日中に再度作業に伺いたいと
思いますが、現在はご依頼主が電源ONの直後に浴槽内でお湯を
強くかき混ぜることでジェット流をスタートさせていらっしゃいます。
吹き出し口を通して水圧の増減が加わることで、残っていた空気が
動きスタートするようです。素晴らしい方法を思いつかれたものです。

 
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